はるみの「ちょっとひと言」

ホーム > はるみの「ちょっとひと言」 > No.18 啓蟄

はるみ知事エッセー[No.18]

啓蟄

 今日は暦の上では「啓蟄(けいちつ)」です。

 地中で冬ごもりしていた虫たちが春の訪れを感じて、草木の芽吹きとともに地上にはい出してくるという二十四節気のひとつです。フキノトウも顔を出し始める春の柔らかな陽ざしのもと、それに呼応するかのように地面の下で虫たちが「伸び」をする、いかにも春を感じさせる季節の言葉ですね。

 私は、この「啓蟄」の季節になると、「そったく(そったく)の機」という言葉を思い出します。禅の言葉で「そったく同機」とも言うそうですが、卵が孵化しそうなとき、母鶏は卵の外側から「コツンコツン」と刺激を与え、雛鶏は内側から殻をつついて外に出ようとする、その絶妙なタイミングを 「そったくの機」というのです。

 春の陽ざしと虫たち、そして母鶏と雛鶏、自然の摂理も親子の関係も、どこかでしっかりとつながっていて、そこで生まれる時機を得た相手への思いが、「啓蟄」であり、「そったく」であると思うのです。

 写真:平成18年10月 札幌近郊の幼稚園にて先日、機会があって、幼稚園の授業風景を見学させていただきました。最後の方は、お母さんたちと一緒になって、工作にも参加させていただきました。
教室内を見学させていただいたときのことです。私がかつて自分の子どもたちに読み聞かせた絵本と同じ絵本が置いてあり、嬉しくなって思わず手に取りました。何人もの子どもたちの手を経て、その絵本はずいぶんとくたびれていましたが、その手触りに、とても温かい気持ちになりました。
 すると、どうでしょう。一人の園児が私のそばで、私とその絵本をじっと見比べているではありませんか。思わず頁をめくり、その園児に読み聞かせを始めてしまいました。

 読み聞かせを終えて、友達のところへ走っていくその園児の後ろ姿を見ながら、ふと「そったくの機」を思い出しました。子どもが読んでほしいと思っているとき、そんな思いをしっかりとくみ取り、きちんと対応することが大事なんだなぁと、あらためて思いました。

 今日は「啓蟄」。
 春は、もうそこまで来ています。

(平成19年3月6日)

このページの先頭へ