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はるみ知事エッセー[No.43]

北海道の一次産業を守るために

 日めくりのカレンダーも日一日と残り少なくなり、早や師走。年の瀬も目前です。一年の終わりを急流・激流を意味する「瀬」に例えるのは、古来、「年越し」がいかに大変で慌ただしかったかを物語る名残とのこと。

 この例えそのままに年の瀬目がけてにわかに本道へと激流が押し寄せました。
 TPPや北方領土、北海道開発等が紙面を賑わさない日はありません。道としても、道議会をはじめ経済界や産業界、労働や消費など数多くの団体の皆様、道民の皆様に支えられ、オール北海道の断固とした意志を国に伝えるべく、首相や閣僚、関係機関へと波状的に要請を重ねています。

 気を緩めることのできない毎日ですが、中でも関係国の交渉が進むTPPは片時も目を離せません。私自身としてもこの問題は譲れない一線です。

 TPP(環太平洋パートナーシップ)とは、太平洋を取り囲む国々の間で貿易等のルールを定め、経済活動の活性化をめざす経済協定ですが、これほど大きな議論になっているのは、TPPには原則10年以内で全ての輸入品に対する関税をゼロにするという基本的なルールがあるからです。

ゆめぴりかに豊穣の期待を込めて 適切に対策が講じられることなくこの原則が適用された場合の本道経済への影響を試算すると、道内の農業生産額は5563億円が失われ、全農家戸数の7割にあたる3万3千戸の営農が困難となり、17万人の雇用が消失するなど、経済的影響は2兆1千億円を超え、食料自給率(カロリーベース)では211%(2008年度)が64%となってしまうと見込まれています。

 この数字から私達は何を読み取るべきでしょうか。
 本道の基幹産業である農業・水産業はじめその産品を原料とする食品加工など食関連産業が致命的な打撃を受け、その影響は1次から3次産業まで、つまり本道の全ての産業に及ぶことになります。

 もう一つ決して目をつぶることが出来ない問題があります。
 国連世界食糧計画が示すように毎日世界で2万5千人が飢餓で命を落としています。異常気象や戦乱、人口急増など様々な要因がありますが、いずれにせよ食料需給の逼迫は悪化することはあっても改善される見込みは希薄です。

 我が子や自国民の極限状態に接したとき、輸出相手の国の国民を優先できるでしょうか。食料確保を輸入に頼りきることの怖さは容易に想像できるはずです。こうした観点から我が国においても僅か8か月前、食料自給率を40%から50%に引き上げる計画を閣議決定したはずです。

 本道の約200%の食料自給率は我が国全体の食料自給の約2割を支えています。しかし、TPP参加で64%に低下すると試算される中で、どのようにして達成するのでしょうか。

 貿易の自由度向上が我が国にとって重要であることは否定できません。
 ただ、私自身、そして誰も、農業の振興と開国が両立させられるという納得できる説明も、また国として食料自給や農林漁業政策をどうしようとしているのかその方針さえも、まだ伺えてはいません。

この子たちに豊かな食と未来を 私たちの主張は北海道の利益だけを守ろうとするものではありません。
 ふるさと北海道を守るという思いは当然ですが、それにも増して食という国民の生命に直結する重要な問題について、親として今を生きる世代として、子ども達そして日本を担う次の世代に責任を持たなければならないという思いが根底にあります。そのためには北海道の一次産業を守らなければならないのです。

 私は約8年の任期を通じ、全道各地を巡り、道外・海外から本道を見つめ直す中で、安全・安心、美味な産品を安定的に供給できる本道の一次産業と食関連産業は、国の基本、国民の基本であることにゆるぎない確信を持つことができました。

 私は一次産業と食関連産業を守り、本道の成長産業として持続可能な本道経済を構築していく決意です。TPPについても「主張すべきは主張し、行動すべきは行動する」−皆様から大きな負託をいただいた北海道知事として、全力で取り組んでいきます。
 引き続き力強いご支援をお願いいたします。

(平成22年12月20日)

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